代表コラム(5号)
MMPEまであと119日!
化学工学論文集は、1975年から創刊されてJ-Stageで今も読めます。シミュレーションを利用した装置研究はどのくらいあるのだろうと、数日かけてざっと調べたことがあります。なんと350報くらいあります。しかも、1970年代から精力的に実施されています。「君、この研究は約50年前に始まっているよ」と諸先輩方に言われそうで、不学を恥じてしまいます。八田数(Hatta number)は世界的にも良く知られ、今も気泡塔、ガス吸収のシミュレーションで使用しますが、考案された八田 四郎次先生は化学機械協会(化学工学会の前身)の会長に1955年に着任されています。この時代の日本の研究熱意があって、現在の皆様に受け継がれてきたのだと思います。
赤川浩爾先生の「気液二相流」(1974)を再読いたしますと、我が国の最初の論文は、1951年の化学機械(現在の化学工学)だったそうです。世界的には1910年代に自然循環ボイラの文献はあったそうですが、組織的な研究は事実上なかったそうです。それが急速に発展したのは1940年代後半であって、蒸気動力プラントの熱負荷増加と高温高圧化に伴い精度の高い計算法が必要になったため、とあります。ちなみにこの本が出版された当時は、我が国のエネルギー課題に関する急速な技術発展の真っただ中。世界的にも教科書は、Wallis, Hewittの本が出たばかりの時代です。既に二相流の消散エネルギー式の誘導まであって、恐れ入りました。
この数十年先、今の皆様の研究論文や記録が、さらに次の世代にも読まれていけばいいなと願っています。